肉の手帖
ゼロから学ぶ畜産 / 格付け【かくづけ】
3行でわかる格付け
- 枝肉からお肉が取れる量を見る「歩留等級」と、お肉の質を見る「肉質等級」から成ります。
- 基本的に見た目の評価であり、味を直接評価する項目はありません。
- サシ(霜降り)が少ない褐毛和種や日本短角種は、格付けが低くなる傾向にあります。
牛肉の格付けとは
公益社団法人日本食肉格付協会が行っている事業です。牛肉と豚肉の適正な市場価格形成を実現するため、農林水産省が承認した取引規格に基づいて枝肉(牛から頭・皮・足・内臓を取り除いた状態のお肉)の格付を行います。
格付けの結果、牛肉にはA5、A4、B5のような等級が与えられます。アルファベットは歩留等級(ぶどまり)、数字は肉質等級と呼ばれます。
なお牛肉の格付けは基本的に見た目の評価であり、味を直接評価する項目はありません。
歩留等級とは
歩留等級は、枝肉から商品となるお肉がどれだけ取れるのかを評価する等級で、A、B、Cの3等級があります。Aが最も高いです。
等級の意味は、それぞれ以下のとおりです。
- A:歩留基準値が72以上
- B:歩留基準値が69〜72未満
- C:歩留基準値が69未満
具体的には、枝肉(えだにく)から第6~第7肋骨間のロースやバラ面積を見て、商品となる部分肉(ぶぶんにく)がどれだけ取れるかを計算します。
なお、この数字は「枝肉全体に占める商品となるお肉の割合」ではないので、ご注意ください。
肉質等級とは
肉質等級は、お肉や脂肪の色沢・質などを見て評価する等級で、1から5の5等級があります。5が最も高いです。
肉質等級は、以下の4つの項目から決定されます。
- 脂肪交雑(B.M.S.)
- 脂肪の色沢と質(B.F.S.)
- お肉の締まりときめ
- お肉の色沢(B.C.S.)
脂肪交雑は、B.M.S.という基準にもとづいて判定します。脂肪(サシ・霜降り)が多くかつ細かいほど等級が高くなります。
脂肪の色沢と質は、B.F.S.という基準にもとづいて判定します。皮下脂肪・筋間脂肪などを目で見て判断します。
お肉の締まりときめは、締まりが良く、きめが細かいお肉ほど、等級が高くなります。どちらも目視で確認します。
お肉の色沢は、B.C.S.という基準にもとづいて判定します。お肉の色が淡すぎず、濃すぎないほど、等級が高くなります。
肉質等級は、最も等級が低い項目のものが採用される。
肉質等級は、まず上記4項目をそれぞれの基準にもとづいて判定し、1から5の等級を決定します。そしてこのうち最も低い項目の等級を、この枝肉の最終的な肉質等級として採用します。
たとえば、次のような2種類の枝肉があるとします。
枝肉A | 枝肉B | |
脂肪交雑 | 5 | 3 |
脂肪の色沢と質 | 5 | 5 |
お肉の締まりときめ | 5 | 5 |
お肉の色沢 | 5 | 5 |
この場合、枝肉Aの最終的な格付けは「5」、枝肉Bの最終的な格付けは「3」となります。そのため、脂肪の少ない品種(褐毛和種や日本短角種など)は、等級が低くなる傾向にあります。
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