肉の手帖
ゼロから学ぶ畜産 / 牛トレーサビリティ
3行でわかる牛トレーサビリティ
- 牛が生まれてから消費者のもとへ届けられるまでの履歴を誰でも追うことができます。
- このシステムで、牛の生まれ育った都道府県(産地)や輸入元を誰でも調べられます。
- 銘柄牛(ブランド牛)によっては、独自のトレーサビリティシステムを設けているところもあります。
牛トレーサビリティとは
2001年に発生したBSE問題を機に始まった制度です。BSEのまん延防止を目的に公布された「牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法」(牛トレーサビリティ法、牛トレサ法)によって、その具体的な内容が定められています。
簡単にいえば、これによって牛が生まれてから、皆さんのもとへ届くまでの履歴を誰でも追跡できるようになりました。トレーサビリティとは、追跡を意味するトレースと、能力・可能性を意味するアビリティを組み合わせた言葉で「追跡可能性」などと訳されます。
牛の耳標に記載された個体識別番号で異動履歴をトレースできる
牛が生まれた、あるいは牛を輸入した人は、その旨をすぐ農林水産大臣に届け出なければなりません(牛トレーサビリティ法 第8条)
届出後、この牛の個体識別番号が通知されます(同法 第9条)。この個体識別番号は耳標に刻まれています。耳標とは牛の耳についている名札のようなもので、やむを得ない場合を除いて取り外してはいけません(同法 第10条)
また届け出は出生・輸入のときだけではありません。その後、牛が牧場を移動したり、と畜されたりした場合も届け出が必要です(同法 第11〜13条)
この異動履歴は、家畜改良センターが運営するデータベースに蓄積されていきます(同法 第20条)。そしてこのデータベースは、同センターの運営する「牛の個体識別情報検索サービス」というwebサイトを通じて誰でもアクセス可能です。
*牛の個体識別情報検索サービス|家畜改良センター
https://www.id.nlbc.go.jp/top.html
こちらのサイトで、商品ラベルに記載されている個体識別番号を検索することで、購入した牛肉の履歴を追うことができます。たとえば、国内で生まれた牛の出生地や、輸入された牛の輸入元の国がわかります。
また銘柄牛(ブランド牛)のなかには、独自のトレーサビリティシステムを運営しているところもあります。たとえば松阪牛(R)は、牛が食べたエサまで調べられます。
※「松阪牛(R)」は、松阪肉事業協同組合の登録商標です。
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