肉の手帖
ゼロから学ぶ畜産 / 狂牛病【きょうぎゅうびょう】
3行でわかる狂牛病
- 牛の脳が海綿スポンジのようになって異常行動などを来たし、最悪死亡してしまう病気。
- 人に感染する可能性があるといわれています(変異型クロイツフェルト・ヤコブ病)
- 牛トレーサビリティシステムで、牛肉の安全性を確認できます。
狂牛病とは
狂牛病は、正式名称を牛海綿状脳症(BSE。以下、この名称を用います)といいます。
BSEは、正式にはBovine Spongiform Encephalopathyといい、日本語で牛海綿状脳症(狂牛病)と呼ばれます。牛がかかる伝染病で、異常プリオン(BSEプリオン)という病原体に感染した牛の脳が海綿スポンジのようになってしまう病気です。異常行動や運動失調といった症状が現れて、最悪死亡してしまいます。
口蹄疫などと違って感染力は低いですが、まん延を防止するために必要と判断された場合は、患畜および疑似患畜を殺処分にしなければなりません(家畜伝染病予防法 第17条)。また人に感染する可能性も指摘されており、それによって変異型クロイツフェルト・ヤコブ病という病気にかかるリスクがあります。
日本では2001年に初めてBSE感染牛を確認。以来、徹底した対策を実施
日本では2001年にはじめて感染が確認されました。原因は異常プリオンの含まれた肉骨粉がエサとして使用されたことだといわれています。そのため2001年10月以降、日本は肉骨粉を牛のエサとして使用することを禁止しました。
ほかにも、牛のエサを運ぶトラックでほかの家畜のエサを運んではいけない、と畜場で牛のSRM(特定危険部位。BSEプリオンがたまりやすい部位)を除去・焼却しなければならないなど、関係者全員が安全な牛肉を消費者へ届けるために、徹底した対策を実施しています。
また牛肉を輸入する場合も、各国の対策状況を踏まえて、牛の月齢やSRMの除去などを輸入条件として設けています。
2003年にはじまった、BSEのまん延を防止するための牛トレーサビリティ制度について
2003年、日本はBSEのまん延を防止する目的で「牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法」を制定し、牛トレーサビリティ制度を開始しました。これは牛が生まれてから消費者のもとに届くまでの履歴を追跡できるシステムです。
日本では生まれた牛、輸入された牛、どちらにも個体識別番号を割り当てられます。これは耳標(牛の耳についている札のようなもの)に記載されており、やむを得ない事情がない限り外すことはできません(外れた牛は今いる場所から移動できません)。
この牛トレーサビリティ制度によって、皆さんは購入したお肉の牛を、誰がどこで育て、誰がどこでと畜したのか知ることができます。
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